過積載(重量オーバー)とは
過積載とは、積載物重量制限超過のことで、法律で定められた積載物の重量、大きさもしくは積載の方法の制限を超えて積載して車両を運転することです。
要するに、トラック、車、バイクにキャパシティー以上に荷物を載せてしまうことです。
道路交通法では、以下のように定められています。
(乗車又は積載の制限等)
第五七条 車両(軽車両を除く。以下この項及び第五十八条の二から第五十八条の五までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第五十五条第一項ただし書の規定により、又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては、当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。2 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。
3 貨物が分割できないものであるため第一項の政令で定める積載重量等の制限又は前項の規定に基づき公安委員会が定める積載重量等を超えることとなる場合において、出発地警察署長が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により支障がないと認めて積載量等を限つて許可をしたときは、車両の運転者は、第一項又は前項の規定にかかわらず、当該許可に係る積載重量等の範囲内で当該制限を超える積載をして車両を運転することができる。
(罰則 第一項については第百十八条第一項第二号、第百十九条第一項第三号の二、第百二十条第一項第十号の二、第百二十三条第二項については第百二十一条第一項第七号、第百二十三条)
出典:道路交通法第五七条
過積載の危険性は、荷物が崩れ落ち、道路上に飛散してしまい、他の交通の迷惑になるどころか人身被害を出してしまうことにあります。
ただ、過積載の危険性はそれだけではありません。
他にも、車軸の破損、脱輪、タイヤのパンク、横転、制動距離が長くなり、曲がる時に運転操作が困難になったりするだけでなく、道路に損傷を与え、振動や騒音被害など、副次的な影響もあります。
それだけ、過積載のデメリットは大きく、さらに多いのです。
もう少し具体的に過積載の制限について見て行きましょう。
道路交通施行令では、自動車の積載の制限に関して以下のように定められています。
一項は、乗車の制限であるため、省略しています。
(自動車の乗車又は積載の制限)
第二二条 自動車の法第五十七条第一項の政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法の制限は、次の各号に定めるところによる。二 積載物の重量は、自動車(ミニカー、特定普通自動車等及び小型特殊自動車を除く。)にあつては自動車検査証、保安基準適合標章又は軽自動車届出済証に記載された最大積載重量(大型自動二輪車及び普通自動二輪車で乗車装置又は積載装置を備えるものにあつては六十キログラム、第十二条第一項の内閣府令で定める大きさ以下の原動機を有する普通自動二輪車がリヤカーを牽引する場合におけるその牽引されるリヤカーについては百二十キログラム)を、ミニカーで積載装置を備えるものにあつては三十キログラムを、特定普通自動車等で積載装置を備えるものにあつては千五百キログラムを超えない範囲内において内閣府令で定める重量を、小型特殊自動車で積載装置を備えるものにあつては五百キログラムをそれぞれ超えないこと。ただし、前号の締約国登録自動車にあつては、車両の保安基準に関する規定により定められる最大積載重量を超えてはならないものとする。
三 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次に掲げる長さ、幅又は高さを超えないこと。
イ 長さ 自動車の長さにその長さの十分の一の長さを加えたもの(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の長さに〇.三メートルを加えたもの)
ロ 幅 自動車の幅(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の幅に〇.三メートルを加えたもの)
ハ 高さ 三.八メートル(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車にあつては二メートル、三輪の普通自動車並びにその他の普通自動車で車体及び原動機の大きさを基準として内閣府令で定めるものにあつては二.五メートル、その他の自動車で公安委員会が道路又は交通の状況により支障がないと認めて定めるものにあつては三.八メートル以上四.一メートルを超えない範囲内において公安委員会が定める高さ)からその自動車の積載をする場所の高さを減じたもの
四 積載物は、次に掲げる制限を超えることとなるような方法で積載しないこと。
イ 自動車の車体の前後から自動車の長さの十分の一の長さ(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の前後から〇.三メートル)を超えてはみ出さないこと。
ロ 自動車の車体の左右からはみ出さないこと(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の左右から〇.一五メートルを超えてはみ出さないこと。)
出典:道路交通施行令 第二二条
自動車の最大積載重量は、自動車検査証、保安基準適合標章又は軽自動車届出済証に記載されており、それを超えて積載してはいけないことが定められています。
また長さ、幅、高さや積載方法についても具体的に道路交通施行令で定められています。
せっかくですので、自動車だけでなく、原動機付自転車の積載制限についても見て行きましょう。
一項は、乗車の制限であるため、省略しています。
(原動機付自転車の乗車又は積載の制限)
第二三条 原動機付自転車の法第五十七条第一項の政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法の制限は、次の各号に定めるところによる。二 積載物の重量は、積載装置を備える原動機付自転車にあつては三十キログラムを、リヤカーを牽引する場合におけるその牽引されるリヤカーについては百二十キログラムを、それぞれこえないこと。
三 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次に掲げる長さ、幅又は高さをこえないこと。
イ 長さ 原動機付自転車の積載装置(リヤカーを牽引する場合にあつては、その牽引されるリヤカーの積載装置。以下この条において同じ。)の長さに〇.三メートルを加えたもの
ロ 幅 原動機付自転車の積載装置の幅に〇.三メートルを加えたもの
ハ 高さ 二メートルからその原動機付自転車の積載をする場所の高さを減じたもの
四 積載物は、次に掲げる制限をこえることとなるような方法で積載しないこと。
イ 原動機付自転車の積載装置の前後から〇.三メートルをこえてはみ出さないこと。
ロ 原動機付自転車の積載装置の左右から〇.一五メートルをこえてはみ出さないこと。
出典:道路交通施行令 第二三条
自動車と同じように、原動機付自転車においても具体的に積載の制限が定めらていることがわかります。
積載の重量や長さ、幅、高さや積載方法についても具体的に定められています。
重量制限、最大幅、高さ制限の標識
重量制限と最大幅の標識です。
上の写真では、20tの重量制限と最大幅が2.5mとなっています。
上の写真は、高さ制限の標識です。
最大幅と似ていますが、こちらは青の三角が上下に付いています。
この写真では、高さ制限が4.1mとなっています。
過積載の運転者への違反点数
違反行為の種類 | 違反点数 |
積載物重量制限超過 | 大型等10割以上:6点、大型等5割以上10割未満:3点、普通等10割以上:3点、大型等5割未満:2点、普通等5割以上10割未満:2点、普通等5割未満:1点 |
積載物重量制限超過の運転者への違反点数は上記の通りです。
普通車よりも大型車の方が違反点数は高く、より重量オーバーしている割合が大きいほど、違反点数は高いです。
最高の6点は、一発で免許停止になる点数ですので、トラック運転手として生計を立てている場合、死活問題になりかねません。
3点、2点、1点でも、他に違反点数が累積していたり、行政処分歴があれば、免許停止や免許取り消しになる可能性もあります。
【参考】免停とは?違反点数と停止期間!前歴なしでも6点で停止処分
過積載の運転者への罰金・反則金
違反行為の種類 | 罰則・罰金・反則金 |
積載物重量制限超過 10割以上 | 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(大型車)、3万5千円(普通車)、3万円(二輪車)、2万5千円(小型特殊車)、2万5千円(原付車) |
積載物重量制限超過 5割以上10割未満 | 4万円(大型車)、3万円(普通車)、2万5千円(二輪車)、2万円(小型特殊車)、2万円(原付車) |
積載物重量制限超過 5割未満 | 3万円(大型車)、2万5千円(普通車)、2万円(二輪車)、1万5千円(小型特殊車)、1万5千円(原付車) |
積載物重量制限超過の運転者への罰則・罰金、反則金は、上記の通りです。
大型車の積載物重量制限超過で10割以上の場合は、反則金はなく、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
過積載の事業者への罰則
違反行為の種類 | 罰則 |
自動車の使用制限命令違反 | 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 |
自動車の使用制限に関する標章を破損し、汚損し又は取り除いた場合 | 2万円以下の罰金又は科料 |
過積載を下命・容認した場合 | 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
過積載で罰せられるのは、運転者だけではありません。
事業者がいる場合、事業者にも罰則があります。
事業者とは、例えばトラック運送業者のような会社です。
自動車の使用制限命令違反とは、自動車の使用者が業務に関し過積載を命令し又は容認した場合や過積載で公安委員会の指示を受けて尚且つ1年以内に再び過積載の違反をしてしまった場合、公安委員会は自動車の使用者に3ヶ月を超えない範囲以内で自動車を運転、又は運転させてはならない旨を命じることができるのですが、その命令に違反することです。
その命令に違反すると、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられてしまいます。
つまり、最初は違反車両の停止処分をされ、その間に再び運転しまうと罰則を受けるということです。
このように、過積載をしてしまうと、運送事業主に対して車両停止処分もされるのですが、違反した回数やどれくらい過積載したのかといった程度によって、車両停止日数が決まります。
過積載を何度も繰り返すと、違反車両の停止処分だけでなく、事業許可の取消処分や運行管理者の資格も剥奪されてしまいます。
現在、国土交通省は過積載に対しての罰則を強化していますので、うっかりがないように注意しましょう。
過積載の荷主への罰則
違反行為の種類 | 罰則 |
過積載車両の運転の要求等 | 再発防止命令 |
再発防止命令への違反 | 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
過積載で罰せられるのは、運転者や事業者だけではありません。
荷主に対しても罰則があります。
荷主は、運転者に対して過積載となることを知っているにもかかわらず、積載物を売買したり、譲渡してはいけないことになっています。
これに違反すると、まずは管轄の警察署長から再発防止命令が出される可能性があります。
この再発防止命令に違反して、運転者に対して過積載運行を要求すると、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。