運転中の携帯電話やスマホ使用は違反行為
運転中に携帯電話やスマホを使用する行為は、「ながら運転」の一つで、違反行為です。
この何々をしながらの運転は、非常に危険な行動であり、交通事故の多発につながるという調査結果が出ています。
これは当然で、交通状況というのは刻一刻と変化しますので、携帯電話やスマホに気を取られている間に歩行者や自転車が死角から現れたり、自動車やバイクが進路変更をし、今とは違う状況が数秒後には現れているなんてことは日常茶飯事だからです。
運転中に携帯電話やスマホを使用する行為は、自殺行為であるのと同様に交通事故の加害者になってしまう可能性も非常に高いのです。
ところで、道路交通法では運転中の携帯電話・スマホの使用に関して、どのように定められているのでしょうか?
道路交通法では、運転者の遵守事項として第七一条に定められています。
(運転者の遵守事項)
第七一条 五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。)に表示された画像を注視しないこと。道路交通法 第七一条五の五
詳しく見ていくと、自動車等が停止している時を除き、携帯電話やスマホで通話してはいけないこと、表示された画像を注視してはいけないことが定められています。
ここで2つの疑問が生まれてくるのではないでしょうか?
それは、「自動車が停止していれば携帯電話やスマホを使用してもいいのか?」ということと、「画像を注視とは、どれくらいの時間を言うのか?」ということです。
その2つの疑問に関して、もう少し考えてみましょう。
自動車が停止していれば携帯電話やスマホを使用してもいい?
自動車が停止している時とは、駐車場や駐停車が可能な場所でエンジンをかけて停止している時や赤信号で停止しているケースなどがあります。
道路交通法で「当該自動車等が停止しているときを除き」と定められていますので、基本的には違反ではないと言えます。
ただし、赤信号で停止しており携帯電話やスマホを使用していると、動き出してからも使用するのではないかと疑われて、切符を切られることもあるようです。
ですので、たとえ道路交通法では、自動車が停止している時の携帯電話やスマホの使用の禁止が定められていなかったとしても、警察に疑われる行為はしない方が無難です。
それに、少しでもタイヤが動いていたら停止とは認められないので、「あっ、赤信号だ!(スッとスマホを取り出し見る→その後、タイヤが完全に止まる)」なんて行動が常態化しているのであれば、違法行為になる可能性が極めて高いです。
また完全に停止したのを確認した後、携帯電話やスマホで通話を始め、赤信号が青信号になったところで、「あっ、信号が変わったから切るわ!(タイヤブーン)うん、じゃあね!」と走り始めた時に通話をしていた場合もアウトです。
他には、渋滞中に徐行運転をしながら、携帯電話やスマホで通話する行為や画像や動画を見る行為も違反です。
車内で携帯電話・スマホをチェックする場合、完全に停止しており、絶対に安全だと言える状況で使用するようにしましょう。
画像を注視とは、どれくらいの時間を言うのか?
画像を注視とは、何秒ぐらいをいうのかと疑問に感じた人も多いのではないでしょうか?
注視は、時間にすると2秒と書かれていることもありますが、実際は時間が規定されている訳ではありません。
注視とは、見続ける行為のことで、チラッと見ただけでは注視になりません。
(改正前)2019年11月30日までの運転中の携帯電話やスマホ使用での違反点数
違反行為の種類 | 点数 |
携帯電話使用等(交通の危険) | 2点 |
携帯電話使用等(保持) | 1点 |
運転中の携帯電話やスマホ使用での違反点数は、上記の通りです。
交通の危険を生じさせず、保持だけであれば違反点数は1点ですがい、携帯電話やスマホの使用によって交通に危険を生じさせた場合は2点です。
(改正後)2019年12月01日からの運転中の携帯電話やスマホ使用での違反点数
違反行為の種類 | 点数 |
携帯電話使用等(交通の危険) | 6点(免許停止) |
携帯電話使用等(保持) | 3点 |
(改正前)2019年11月30日までの運転中の携帯電話やスマホ使用での反則金・罰金
違反行為の種類 | 反則金 |
携帯電話使用等(交通の危険) | 1万2千円(大型車)、9千円(普通車)、7千円(二輪車)、6千円(小型特殊車)、6千円(原付車) |
携帯電話使用等(保持) | 7千円(大型車)、6千円(普通車)、6千円(二輪車)、5千円(小型特殊車)、5千円(原付車) |
運転中の携帯電話やスマホ使用での反則金は、上記の通りです。
この反則金を支払わない場合、携帯電話使用等(交通の危険)で「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」、携帯電話使用等(保持)で「5万円以下の罰金」に科せられる可能性があります。
ただし、これは2018年02月15日現在の罰則です。
携帯電話やスマホでの運転での事故が多発していることから、道路交通法が改正される方向に進んでいます。
この改正法案では、反則金を納付すれば公訴を提訴されない交通反則通告制度の対象から外れる見通しです。
つまり、青切符から赤切符になるということです。
ちなみに、以下のように罰則が強化されるようです。
- 携帯電話使用等(交通の危険)で「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」→「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」
- 携帯電話使用等(保持)で「5万円以下の罰金」→「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」
運転中の携帯電話やスマホでの交通事故が年々増加していることを考えると、この規制強化は自然な流れです。
飲酒運転の罰則が徐々に強化されたように、この携帯電話・スマホの「ながら運転」も今後、さらに強化される可能性はあります。
(改正後)2019年12月01日からの運転中の携帯電話やスマホ使用での反則金・罰金
違反行為の種類 | 反則金 |
携帯電話使用等(交通の危険) | 2万5千円(大型車)、1万8千円(普通車)、1万5千円(二輪車)、1万2千円(小型特殊車)、1万2千円(原付) |
携帯電話使用等(保持) | 適用なし (反則金の制度の対象外で、 すべて罰則の対象になります。)※つまり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。 |
ハンズフリーのイヤホンマイクは違法?
ハンズフリーのイヤホンマイクであれば、運転中に使用することはできるのでしょうか?
その答えは、都道府県によって多少条件は異なりますが、基本的にはグレーだということです。
もしあなたの住んでいる都道府県で違法かどうか知りたければ、道路交通規則や道路交通法施行細則をチェックすればわかります。
例えば、大阪府道路交通規則を見てみましょう。
(運転者の遵守事項)
第13条 法第71条第6号の規定により車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(5) 警音器、緊急自動車のサイレン、警察官の指示等安全な運転に必要な交通に関する音又は声を聞くことができないような音量で、カーオーディオ、ヘッドホンステレオ等を使用して音楽等を聴きながら車両を運転しないこと。
出典:大阪府道路交通規則 第13条
ハンズフリーのイヤホンマイクに関しての言及はありませんが、カーオーディオ、ヘッドホンステレオ等と書かれているので、外部の音が聞こえないのであれば、ハンズフリーのイヤホンマイクでも使用は違法であると考えられます。
それでは、今度は滋賀県道路交通法施行細則を見てみましょう。
(運転者の遵守事項)
第14条 法第71条第6号の規定により車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(6) カーラジオ等を高音にし、またはイヤホーン等を使用して聞く等安全な運転に必要な交通に関する音または声が聞こえないような状態で車両を運転しないこと。ただし、公共目的を遂行するための指令を受信する者が、イヤホーン等を使用するときは、この限りでない。
滋賀県道路交通法施行細則 第14条
滋賀県道路交通法施行細則では、イヤホーンに関しての言及があり、後は大阪府道路交通規則と同じことが書かれています。
今度は富山県道路交通法施行細則を見てみましょう。
(運転者の遵守事項)
第17条 法第71条第6号の規定により、車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次の各号に掲げるものとする。
(9) 大きな音量でカーラジオ等を聞き、又はイヤホン、ヘッドホン等を使用して音楽等を聞き、安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合、又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令等を受信する場合にイヤホン等を使用するときは、この限りではない。
出典:富山県道路交通法施行細則
富山県道路交通法施行細則には、難聴者が補聴器を使用する場合についての言及があります。
このように見ていくと、交通に関する音又は声が聞こえない状態で運転できない状態になるようであれば、ハンズフリーのイヤホンマイクの使用はダメだということがわかります。
逆に言えば、交通に関する音又は声が聞こえるのであれば、違法ではないと言えます。
もしもハンズフリーのイヤホンマイクの使用違反で捕まることがあれば、公安委員会遵守事項違反で反則金6千円(普通車の場合)、違反点数0点、もしくは安全運転義務違反とされる可能性もあります。
ということで、もしもハンズフリーのイヤホンマイクを使用する予定がある方は、お近くの警察署に相談することをオススメします。