過労運転とは
過労運転とは、働き過ぎて疲れており、正常な運転ができない状態で車両を運転する違反です。
道路交通法では以下のように定められています。
(過労運転等の禁止)
第六六条 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。(罰則 第百十七条の二第三号、第百十七条の二の二第七号)
出典:道路交通法 第六六条
ここで言う、正常な運転ができないおそれがある状態とは、どのように判断するのでしょうか?
例えば、居眠り運転です。
居眠り運転の原因が過労から来たものだと判断された場合、過労運転だと判断される可能性があります。
その他にも、仕事の疲れを軽減するために薬を服用し、その結果、その薬に催眠作用があり、ぼぉーっとしてしまったり、正常な運転ができない状態で車両を運転した場合、過労運転だと判断される可能性があります。
ただ、その居眠りや正常な運転ができない状態になったのが、働ぎ過ぎの過労だと、どのように判断するのでしょうか?
その参考になるのが、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」です。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」は、現在の労働省がトラック、バス、タクシーの運転者の拘束時間や運転時間の限度などを定めたものです。
それぞれの運転者の労働時間等の改善基準ポイントは、厚生労働省が細かくまとめてあります。
【参考】厚生労働省『自動車運転者の労働時間等の改善の基準』
ですが、これだと長いですので、概要についての厚生労働省のQ&Aを見て行きましょう。
Q.「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の概要について教えてください。
A.「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」は、平成元年、労働省(現在は厚生労働省)告示として制定されたもので、トラック、タクシー及びバスの運転者の拘束時間や運転時間の限度などを定めています。
例えば、トラック運転者については、
(1) 拘束時間(労働時間、休憩時間、その他の使用者に拘束されている時間)は、1か月293時間、1日原則13時間以内でなければなりません。
(2) 勤務終了後、継続8時間以上の 休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)を与えなければなりません。
(3) 運転時間は2日間平均で1日9時間、2週間平均で1週間44時間以内でなければなりません。
(4) 連続運転時間は4時間を超えてはなりません。
等の基準が定められています。
(労働基準局監督課)
出典:厚生労働省『FAQ(よくある質問)ー労働基準行政全般に関するQ&A』
この概要の例は、トラック運転手のケースですが、上記の拘束時間や運転時間を超えて働いた場合、過労と判断される可能性があります。
その過労と判断される状態で車両を運転した場合、過労運転と判断されます。
過労運転等の違反点数
違反行為の種類 | 点数 |
過労運転等 | 25点 |
過労運転等の違反点数は、25点です。
過労運転等とは、過労以外にも病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した場合、この違反が適用されるということです。
25点というのは、一発で免許取消になる点数です。
免許停止ではなく、免許取消です。
詳しくは、免停とは?違反点数と停止期間!前歴なしでも6点で停止処分をチェックしてみてください。
過労運転等の罰則
違反行為の種類 | 罰金・罰則 |
過労運転等 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
過労運転等の罰則は、上記の通りです。
青切符ではなく、赤切符で、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という非常に重い罰則が科せられる可能性があります。
過労運転と裁判で判断された場合、前科が付きます。